おじいちゃんがいた最後のお正月
祖父母の家で、少ない身内が集まって、お正月を過ごした時のことを覚えている…。
確か、私が25歳くらいの時だったと思う。
息子夫婦とその子供たち、娘夫婦とその子供たち、孫の中には来てない子もいた。
その時、おじいちゃんはとても孤独な様子に見えた。
息子夫婦、娘夫婦の中の会話に入らず、少し離れた場所にあるテーブルの前に座ってただただ静かにしていた。無口だった。
もう未来のことは息子夫婦や娘夫婦に託し、自分は年寄りとして小さくなっていくのだ…そんなおじいちゃんの気持ちが感じられた。
そのお正月の集いで、私は最後のおじいちゃんからの「お年玉🧧」を貰った。
本当は笑顔でハッキリと「ありがとう。」と言いたかった。
でも、側におじさんがいたので、そのことを気にして決まり悪く「あ、ありがとうございます」と言った。
おじいちゃんも、私にお年玉を渡すのは最後だと思っていたのだと思う。
おじいちゃんはいつも言っていた。
孫娘である私の婚礼に出席するまでは絶対に生きるのだと…。
でも、私は未だ独身でいる。
祖父母は私にとっての一番の幸せな道は、いい人と巡り合っていいところにお嫁に行くことだと思っていたらしい…。
祖母は祖母で10代の私に習い事を勧めてくれた。
「習い事はできる時にしておかないとね。まず料理は習った方がいいわね。それとお花も…」
そう話していた祖母は幸せないいお嫁さんになれるようにと、習い事を勧めてくれたのだと思う。
祖父母からの愛情をたくさん受けたにもかかわらず、私は言うことをあまり聞かなかったように思う…。
亡くなった人のことって死んでしまえばそれで終わり…じゃなくって、あの時こんな思いでいたのだろうか?寂しかったのだろうか??
そんなふうにふと思いを馳せたりするものです。